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平和の祭典と抗議活動のデザイン

ON: 2008年4月11日 16:28
IN: DESIGN
BY: RYU

不謹慎な言い方ですが、『オリンピックの問題が盛り上がっています』。
オリンピックで『問題』っていうのは問題ありますね。
近代オリンピックは平和の象徴である筈なのですから。

チベットの問題はチベットの問題として、オリンピックの問題はオリンピックの問題として冷静に切り分けて話し合わないと、オリンピックに参加する選手に危害が加えられないかと心配してしまいます。

距離が縮まった世界では、過激な考え程スピードをあげて伝わりやすいようです。
人間は愚かですから、他人事と考えている人程、過激な考え・刺激が強い方へ意識が流れていってしまいます。
ダライ・ラマと中国政府とを比べて、どちらがどうだという事が言える程の知識は無いですが、暴力的な手段はとらずに、何卒穏便に話し合っていただきたい。


さて、イデオロギーとか宗教の話は横に置いておきます。

先日、TVで映った抗議活動のシーンで、目に留まったものがありました。
中国政府の人の演説に飛び込んだ活動家が手に持っていた旗?みたいなものに書かれていたマーク。黒の生地に白抜きで染めているのでしょうか?単にプリントしただけなのかよくわかりませんが、五輪のマークを手錠で構成しています。
『ははぁん。なるほどねぇ』という関心とともに、若干の違和感も感じました。

抗議活動の象徴としてデザインされたマークであるので、インパクトと深刻さをうまく取り込んでいるなぁとは思ったのですが、どうも正義の味方感がなさ過ぎて、悪者に見えてしまいます。
実際のところは知りませんが。
海賊のドクロのマークと同じように、ヒールでヒーローっていうポジションを狙っているのでしょうか?
{『活動の為の活動』つまりは『抗議活動そのものに目的がある』”かのような”}
印象になってしまっているのではないかな?と感じました。

もっとアンダーグラウンドな抗議活動、例えば僕のような個人がサイト上のグラフィックで抗議の意思を表明するというような場合には、あのような過激な表現の方が良い気がしますが、『世界に向けての呼びかけ』として使用するには、少し毒々しいのかなと感じました。
世界のTVの前では、子供も見ています。
また、中国出身の方や、中国に思い入れのある方があのマークを見た時にどういった印象を与えるかって考えると、逆に感情を逆なでして、冷静な話し合いができないかもしれないな?と思いました。

僕がアートディレクターなら、
世界に向けたTV発信ならあのデザインはボツ
もっとアングラな活動限定なら、ナイス
という判断になります。

あくまで、平和的に。非難しあって平行線を辿るより、話し合いの場所を作る為の呼びかけを行って欲しいと思います。